「剣はペンより強し」

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「剣はペンより強し」

ある国の殿様は、非常に残酷な人だった。 関所に役人を置いて、目をつけた旅人を拷問したり殺したりして、金を巻き上げていたのだ。 ある日、運悪く一人の男がその殿様の国の関所に来てしまった。 関所の役人は、男に意地悪く笑みを浮かべながら言った。 「旅人、お前について、正直に言え。そうすれば鞭打ち100回だ。もし嘘をついたら首をはねるぞ。はっはっは!」 旅人はすぐさま切り返した。 「然らば、某は首をはねられるだろう」 役人は、果たして、男を鞭打ちにすべきか首をはねるべきか混乱した。 旅人はしたり顔を浮かべ、にやにやとしていた。 そこを偶然、例の残酷な殿様が通りかかった。 役人は殿様に平伏し、今しがたのやりとりの事情を話した。 「殿、いかがなさいましょうか」 殿様は答えた。 「簡単なことだ。こやつを鞭打ち100回の後に、首をはねよ。」
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