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「過ぎたるは猶・・・」
昔、ある村に非常に金持ちの男がいた。
男は非常にケチだったので、貧しい人たちが物乞いに来ても、門の先で冷たくあしらっていた。
「お前たちにやる金などないわ!」
と。
・・・
ある日、男の住む場所の近くの家で、強盗があった。その家の人は金目の物を全て奪われ、一文無しとなってしまった。
事件から二日経ったが、強盗は依然捕まらないままだ。
すぐに、村中にその話は広まった。
「それは大変だ」
男は、その事件の話を聞いてそう言った。
もちろん、被害者の人のことを憐れんでのことではない。今度は自分に被害が及ぶのではないか、と恐れたためだ。
そこで、男は自分の財産を強盗が捕まるまで、一時的に全てどこかに隠すことにした。
「絶対に、誰にも見つけられない場所に隠してやろう」
男が財産を隠した場所は、本当に誰も見つけられないような場所だった。
・・・
事件から一週間後。
強盗が逮捕され、被害にあった家にも無事に財産が戻ってきた。
村の人々は皆、事件の解決に安堵の表情を浮かべていた。
しかし、そんな中で一人取り乱している男の姿があった。
それは、数日前に全財産を隠した、金持ちのケチな男だった。
「一体おれはどこに金を隠したのだ!このままでは・・・」
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