13人が本棚に入れています
本棚に追加
貯金箱。
お金を貯めるための箱。
凡例:「豚の ―」
・・・
一週間前のこと。
私は駅前にあった雑貨屋で貯金箱を買った。
500円のその代物は、ありきたりな、豚の形をした貯金箱だった。
可愛らしいからインテリアにでも、という軽い気持ちだったが・・・。
それが、とんでもないことになるなんて ―
・・・
仕事帰り、私(OL/25歳未婚)が、駅前を歩いていると、ふいに道の脇に小さな雑貨屋さんがあることに気が付いた。
普段はあまり駅前あたりでは寄り道はしなかったが、ほんの好奇心から、中に入ってみることにした。
店の中は、こじんまりとした雰囲気がした。
愛想のよさそうな眼鏡をかけた初老の男性が、カウンターでわずかにこちらに微笑んでいる。
私は彼に会釈をして、品物を見て回た。
可愛らしい三毛猫のぬいぐるみ、銀製の天秤、ソフトボール並の大きな植物の種や、黒いシミのついた錆びた斧、果ては民族的男性用下着のコテカまで、あらゆるものが雑多に置いてあった。
ふとカウンターを見ると、そこには愛らしい豚の置物のようなものが鎮座していた。
よく見るとそれは貯金箱のようだった。
私がまじまじと豚の貯金箱を見ていると、愛想のいい店主のおじいさんが、「500円にまけといてあげるよ」と言ったので、私はそれを買って、アパートへ帰ることにした。
・・・・・
帰宅後。
私は豚の貯金箱を、本棚の上に奉った。
そして、試しに背中の穴へ、100円硬貨を入れてみることにした。
「チャリン」
と、心地のよい音がして、私は一人「うふふ」と、ほくそえんだ。
その時だった。
なんと、豚の貯金箱の体が、眩しい光を放ち出したのだ。
何事か、と思い、私はすぐさまフライパン(テフロン製)を掴んだ。
しかし、突然豚があまりに激しい光を炸裂させたために、私は思わず目を覆った。
「!!」
最初のコメントを投稿しよう!