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光が次第に弱くなる。
私は目を細めて、貯金箱の方を見やった。
しかしそこには貯金箱がなく、丸々とした子豚が一頭いただけだった。
「・・・!?」
もう私は、何が何だかわからなくなってきた。
しばらく呆然としていたが、ふいに貯金箱があった場所に、紙があることに気が付いた。
「これは、あなたに富を運ぶ貯金箱です。今、あなたの目の前にいる愛らしい子豚は、貯金箱の本当の姿です。毎日、お金を食べさせてあげましょう。一年もすれば、あなたは以前よりお金持ちになれるでしょう。」
続きの文面に目をやる。
「しかし、子豚を叩いたり、乱雑に扱ってはいけません。パックリと割れてしまいます。なお、この品物に関するクレームは一切受け付けません。」
なるほど、よく見ると子豚の背中には相変わらず穴がある。
私がおそるおそる、床の上をうろついている子豚にそっと触ってみると、ひんやりと陶器のような感触がした。
しかし、いきなり家に子豚が現れたとなれば、腑に落ちるはずがない。
「はぁ」
と、私は軽く溜め息をついて、寝ることにした。
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