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「あっ………雨…。」
真穂は窓から手を出してつぶやいた。夏に入ろうとしている6月なかば、今は一番雨が多い時期だ。
「何やってんだよ?ボサッとしてねぇで帰るぞ。」
「うわっ!何すんの、もぅ!」
涼にカバンを投げ渡され、少しイラついたように怒鳴る。
「何カリカリしてんだ?お前らしくねぇ」
涼に指摘された真穂はビクリと背筋を伸ばした。
「だって雨降ってるんだもん。昨日の天気予報では降りませんって言ってたのにぃ」
「馬鹿かよお前…。梅雨に雨の降らねぇ時なんてねぇだろ普通?」
馬鹿と言われムッとした真穂を見て涼は付け足した。
「俺の傘貸してやっからほら、帰るぞ。」
「えっでもそれじゃ涼が濡れちゃうじゃん?」
「じゃあ返せよ。」
「はぁ?返さないよ!濡れたくないもん!」
「なんじゃそら……」
あきれた涼はとりあえず上着を脱いだ。
「ちょっと、何してんのっ////」
「何してんのって、上着を傘代わりにすんだよ?……変な事考えたんじゃねぇだろうな?(笑)」
「はっ!?そっそんな事考えてないよ!」
「なら良いけど(笑)」
意味の無い会話をやり取りし、二人は学校を後にした。
「ほんとに大丈夫なの?」
「大丈夫だって。俺は風邪なんかひかねぇから。」
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