一話 集団

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20人くらいの、若い女の人、男の人、老人、中学生くらいの男の子、女の子…… それぞれが一切無言で立ってるんです。 暗闇の中、不気味に浮かび上がる集団。 よく見えませんが、お寺のお坊さんが着るサムエイのようなものを全員身に付けてました。 暗い中でも少し見えた、それぞれの生気のない虚ろな顔…。かたまって集まっているのですが、それぞれが視線を合わす事もなく、違う方向を向いて、ただ、黙って、立ってるんです。こっちに気づいてるかもわからないけど、誰もびくともしないんです。 「これはおかしい。普通じゃない。」 2人は同時に悟って、手を握りながら走り出しました。 もう、泣きそうでした。
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