二話 猿の顔

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しばらくしてHさんが、写真を現像して家に持ってきてくれました。 その車での写真以外にたくさん撮ってたので、しばらくその話で盛り上がってると。 あの車での写真を見て私が変な事に気づいてしまいました。 「ん、何これ~~??」 あんまり細かく見ないうちに口に出してしまったのでHさんが近寄ってきて写真を覗き込みました。 どう見ても変なんです。 アングルからして、車の中のHさんを写してるはずなのに、ハンドルやシート、窓全て写ってるはずが…。 全て 写ってませんでした。 どういう事かと言うと、ハンドルを握ったポーズのHさんだけが写っていて、車の中の部品はシートベルトだけ写っているという奇妙なものだったんです。 しばらく2人とも言葉を失いましたが怖がりなHさんは「え~~と、多分ブレたんだよ…あはは」 と強がりました。 そしてまだ眺めてた私は発見してしまいました。 「え゛ぇ!!!?」 思わず写真を投げ出してしまいました。 「何、何?!まだなんかあんの?」 Hさんの顔がこわばりまくります。 「見ない方がいいって!!」 私は、本人は見ない方がいいと思い、思わず大声を出してしまいました。 怖がりだけど強がりなHさんは 「大丈夫だって~、私全然、全然そういうの信じないから」 と言って聞きません。2人ともしばらく写真を奪い合って部屋で大暴れしました。
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