眼鏡王子とストーカー少女

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   だってほんとに、柳先輩は綺麗なんだ。 “美形”って言葉があんまりにもピッタリというか、もうそれすら飛び越えて、超美形。 サラサラの黒髪に、切長の涼やかな瞳。 すらりとした高い身長に、長い手足。 整ったスタイルに、眼鏡好きの私にはたまらない眼鏡姿。 こんな至近距離にいたら鼻血を吹きそうだと、さっきから考えてる私を、だれが馬鹿にできるっていうの。 「……結野さん?」 「あっ、う、え! なっ、なんでしょう!?」 突然かけられた柳の声に、振り返る。 自分の世界にトリップしていたので、かなり間抜けな声を上げてしまった。 「ふっ……、なんでそんなに慌ててんの?」 「!」 わ、笑った……。 柳先輩が笑った……。 ・・ あの柳先輩が笑った! 「どうかした?」 微笑みを元の落ち着いた表情に戻し、柳はみほを見つめた。 本棚の前に立ち、大量の資料を抱えたみほは、緊張と動揺から言葉に詰まった。 おまけに、整いすぎた美しい顔でじっと見られたりしたら、思考が機能を果たしてくれない。  
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