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「や、柳先輩も、笑ったりするんですね」
「は?」
言ってから「しまった!」と思った。
「俺でも笑うんですねって、どういうこと?」
「いや、えーと、あの、その……」
柳の目が細められ、言葉のふしが険しくなった。
私、かなり失礼なこと言っちゃったよ!
そりゃ、笑わない人なんていないって!
笑うのが普通だって!
これじゃまるで、柳先輩を「普通じゃない」と言っているようなものじゃないか。
……でも、どうしても、あのクールで冷静な柳先輩が笑うなんて、想像できなかった。
「聞いてる?」
頭上から低い声が聞こえて、みほはビクリと体を飛び上がらせながら、顔を上げた。
すると目の前には、いつ椅子を立ったのか、柳が立っていた。
跳ね上がる心臓を「落ち着け」と制する。
「説明してもらえる?」
冷たい、感情を含まない声で、柳は彼女に詰め寄る。
「あの、ですね……。えっと……」
「ああ」
柳が怖いのと、この状態をどうすればよいのかわからなくて、みほは泣きたい気分だった。
柳先輩、怖いよぉ!
「失礼だな。ウザイ奴だ」とか思われたのかな。
……こんなことなら、生徒会なんて入らなきゃよかった。
遠くから見てるだけでよかったのに、傍にいたいなんて欲を出したから、ばちが当たったのかもしれない。
浮かれて調子に乗ったのがいけなかったのかもしれない。
柳先輩に嫌われたら、私は明日からどうやって生きていけばいいんだろう──。
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