眼鏡王子とストーカー少女

6/11
前へ
/13ページ
次へ
  「プッ……」 「へ?」 「あはははは!」 「!?」 先ほどまで不機嫌そのものであった柳が、急に腹をかかえて爆笑しだした。  え? え? 柳先輩が爆笑してる……? なんで? なんで? 理解不能な状況に、みほが途方に暮れていると、 「ああ、ウケた。結野さん、ビビりすぎだろ。そんな泣きそうな顔しなくったって……」 「ほへ?」 彼の言葉に、なにがどうしたのかわからないみほは、妙な声を上げた。 「そんな顔しなくても怒ってないよ」 「え?」 柳は柔らかい笑顔でそう言うと、みほの頭を撫でた。 「わわっ……!」  キャーッ!! キャ──ッ!! 頭なでキタァ──! 事態がよく呑み込めない。 ただ、されるがままに、柳に頭をなでられていた。 「結野さん。俺も普通に笑う奴だからね」 「へ?」 彼の言葉に、真っ赤な顔を上げるみほ。 「そうなんですか?」 言ってから再び「馬鹿!」と思ったが、柳は不快な顔ひとつせずに、笑顔で答えてくれた。 「そう。俺、見た目がこんなかんじだろ? だから、クールとか冷静とかそういうイメージが強いらしいけど、別に普通なんだよ」 「はあ……」 そう言って子どものように微笑む柳には、確かにいつものクールな雰囲気はなかった。  
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

259人が本棚に入れています
本棚に追加