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「プッ……」
「へ?」
「あはははは!」
「!?」
先ほどまで不機嫌そのものであった柳が、急に腹をかかえて爆笑しだした。
え? え?
柳先輩が爆笑してる……?
なんで? なんで?
理解不能な状況に、みほが途方に暮れていると、
「ああ、ウケた。結野さん、ビビりすぎだろ。そんな泣きそうな顔しなくったって……」
「ほへ?」
彼の言葉に、なにがどうしたのかわからないみほは、妙な声を上げた。
「そんな顔しなくても怒ってないよ」
「え?」
柳は柔らかい笑顔でそう言うと、みほの頭を撫でた。
「わわっ……!」
キャーッ!! キャ──ッ!!
頭なでキタァ──!
事態がよく呑み込めない。
ただ、されるがままに、柳に頭をなでられていた。
「結野さん。俺も普通に笑う奴だからね」
「へ?」
彼の言葉に、真っ赤な顔を上げるみほ。
「そうなんですか?」
言ってから再び「馬鹿!」と思ったが、柳は不快な顔ひとつせずに、笑顔で答えてくれた。
「そう。俺、見た目がこんなかんじだろ? だから、クールとか冷静とかそういうイメージが強いらしいけど、別に普通なんだよ」
「はあ……」
そう言って子どものように微笑む柳には、確かにいつものクールな雰囲気はなかった。
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