眼鏡王子とストーカー少女

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   ──というか。 ひょっとしていつものは、私が勝手につけたフィルター越しに柳先輩を見てたからそう見えただけで……、柳先輩にそういうつもりはなかった? 「…………っ」 そう気付いてしまえば、勝手に彼のイメージで騒いでいた今までの自分が、ひどく恥ずかしくなった。 「?」 柳が不思議な顔で、みほを見下ろしている。 みほは、頭にのせられたままの柳の手を、震えた自らの手で握ると、 「や、柳先輩、ごめんなさい……。私 勝手な妄想で、柳先輩のこと見てて……」 「ぶっ……! 妄想って──」 「でも、私! 柳先輩のことが好きなんです!」 「…………はい?」 「わ、私、ずっと柳先輩のこと見てました! 入学式の時からです! 壇上に上がって挨拶をする先輩が凛々しくてカッコよくて……ひっ、一目惚れでした!」 「…………」 柳は、“ぽかん”というのがぴったりな表情で、みほを見ている。 「だ、だからっ! 先輩がクールだろうとそうでなかろうと、どっちでもいいんです! ……いやいや、『どっちでもいい』ってのは失礼かな……」 混乱して、もう自分でも止められなくなっている。 頬を紅潮させ、体は震えて、柳の手を握る小さな手のひらには、汗が浮かんでいる。 「と、とりあえず、そういうことです!」 「…………どういうこと?」 柳のツッコミも、今のみほには届かない。  
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