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「柳先輩は作り物なんかじゃないです!」
みほは熱のこもった視線で、握りしめた拳を顔の前に出しながら、声を荒げる。
「へっ?」
「たとえ、天才に本物か偽物かがあったとしても、柳先輩は偽物なんかじゃありません!頭いいし、運動神経もいいし、顔だって天使みたいにキレイだし、足だって長いし、髪サラサラだし……」
「みほちゃん……?」
「あっ……」
みほはハッとして、言葉を止めた。
柳が困ったように笑って、顔の前に掌をかざす。
「まあまあ」
「あっ、ご、ご、ごめんなさいっ」
「いやいや、いいよ」
「えっ?」
みほは柳の目を見つめる。
「だって、なんか嬉しかったよ。そこまで想ってもらえて、俺って幸せ者だな」
柳は、それはそれは眩しい笑顔をみほに向け、とても優しい口調でそう言う。
嬉しい? 柳先輩が? 幸せ者? 私に好かれて?
「…………」
ふいに、涙腺が崩壊した。
「うわ!」
突然、みほの目から大粒の涙が流れてきて、柳は思わず飛びのいた。
「な、なに!? 俺なんか悪いことした?」
「えっ? あ、いえ、全然……」
「じゃあ、なんで泣いてんのっ」
「こ、これは……」
みほは、後から後から流れてくる涙を、手のひらで受け止めながら、
「なんか……私のほうこそ感動して……」
「え?」
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