32人が本棚に入れています
本棚に追加
7月中旬。じめじめと鬱陶しかった梅雨も明け、雲の間から覗く真夏の太陽が容赦なく地表を焼き続ける。
夏休み前の浮かれた空気は学生たちをだらけさせ、プールなどは涼を求める人たちで賑わっている。
そういう僕もそんな浮かれた一人で、学校帰りに近くのアイスクリームショップに寄り、贅沢にも三段重ねのものをを買って帰るところだった。
大変だったテストやその返却もようやく終わり、残るは夏休みまでの数日のみ。浮かれ気分の僕は、早く帰って昨日買ってきたばかりの漫画でも読もう。そんな何気ないことを思いながら帰路に就いている。
いつもとなんら変わらない、普通の一日。今日もそうなるはずだった。
そう、彼が現れていなければ───
最初のコメントを投稿しよう!