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「悪いがその侍は恐らく亡くなっている」
それを聞いた重玄は目が点になった。
言いにくかったが環は重玄に伝える事にした。
「そんな、まさか、あれほどの腕を持った男が死ぬとは・・・・・」
「重玄さんを倒す程の腕前なら殺されたという事はないと思うけど。時間が経ちすぎたのよ」
「そうか、人間は自分らと違って、寿命があるんでしたね」
重玄は明らかに落胆している。
それを見た環はとある事をしたいと思っていた。
「あの重玄さん、あなたは普通の魔族と明らかに違う様に見えますが」
「あぁ、それですか・・・・・。他の魔族は自分の欲望に従順にしたがっていますが、自分は鍛錬を積み重ねているので自分の感情をコントロールできますから」
「そうですか、なら、一剣士として、是非、私と手合わせをお願い出来ませんか?」
重玄は、無気力な目で環を見た。
環が手にしていた刀に目が止まった。
「お嬢さんも侍ですか?」
「侍かどうかは分かりませんが、剣の心得はあります」
それを聞いた重玄はみるみるうちに元気になっていった。
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