5538人が本棚に入れています
本棚に追加
/621ページ
「ま、そうだろ。相手はあたし等よりも数段格上だ」
「魔力だけならですよね?」
咲菜が真紀の顔を覗き込みながら言った。
「そうなんだけどね・・・・・」
「けど?」
「サッキーは重玄の正体に気づいてる?」
「正体?」
魔族は、人間界に来る際に人の皮をかぶり、人間に化けることがある。
「奴が皮をかぶっていると?」
「いや、それはないよ」
咲菜は真紀が言いたい事が分からなくなっていく。
咲菜の表情を見ていた真紀は重玄について語った。
「重玄は鬼人<キジン>だ」
「鬼人っ!?」
「そう、鬼人だ。人ならざる者。元を辿れば人間らしいがな・・・・・」
昔、鬼は人が人道を外れた時になるという説があった。
それが鬼人。
だが、鬼人と化す者は稀であった。
しかし、戦国期は世が荒れに荒れていた時期でその頃は多くの人が鬼人となったそうだ。
「重玄が鬼の類・・・・・」
「間違いない。さっき、自分で名乗ってた」
“闘鬼”
それは鬼達の中でも間違いなく五本の指に入る程の実力を持っていることを示していた。
最初のコメントを投稿しよう!