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環は、重玄から離れる事なく、常に自分の間合いで戦っていた。
だが、それはあくまで刀を使った時の間合い。
つまり、重玄の間合いでもある。
だが、重玄は刀を抜く気配すらない。
しっかりと環の動きを見極めて、一撃を確実にかわしている。
環の攻撃のクセなどを探している様にも見える。
「てゃぁぁぁぁぁぁ!!」
環の怒涛の斬撃。
その斬撃を重玄は全てかわした。
環は重玄と戦う中で自分の未熟さを思い知った。
だが、刀を退くわけにはいかなかった。
彼女にも意地がある。
剣士として退く事はできない、自分が神城流剣術の宗家の一人であるという意地が。
そんな意地が、今の環を突き動かしていた。
「負けられない、負けられない、負けられない・・・・・」
環はそう呟きながら攻撃をしていた。
当たらない攻撃を何度も繰り返す。
そんな攻撃が当たるはずはなく、徐々に単調な攻撃に変わっていく。
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