【乱戦】

24/43
5538人が本棚に入れています
本棚に追加
/621ページ
環は、重玄から離れる事なく、常に自分の間合いで戦っていた。 だが、それはあくまで刀を使った時の間合い。 つまり、重玄の間合いでもある。 だが、重玄は刀を抜く気配すらない。 しっかりと環の動きを見極めて、一撃を確実にかわしている。 環の攻撃のクセなどを探している様にも見える。 「てゃぁぁぁぁぁぁ!!」 環の怒涛の斬撃。 その斬撃を重玄は全てかわした。 環は重玄と戦う中で自分の未熟さを思い知った。 だが、刀を退くわけにはいかなかった。 彼女にも意地がある。 剣士として退く事はできない、自分が神城流剣術の宗家の一人であるという意地が。 そんな意地が、今の環を突き動かしていた。 「負けられない、負けられない、負けられない・・・・・」 環はそう呟きながら攻撃をしていた。 当たらない攻撃を何度も繰り返す。 そんな攻撃が当たるはずはなく、徐々に単調な攻撃に変わっていく。
/621ページ

最初のコメントを投稿しよう!