似非民話「化け狐と化け娘」

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とんと昔の事だったそうな。 たいそうかわいらしい娘が、 村から村へ、 人形芝居をして 歩いておったのだと。 名を、吉といったそうな。 ある時のことだったそうな。 お吉が次の村へ行く道で、 暗くなってきてしもうた。 前の村のもんに聞いた話だと、 このあたりには、 たいそう化かし上手な狐が 出るという話じゃった。 お吉はさとい娘じゃから、 自分は化かされるまいと、 気にせず次の村への道を 行ったそうな。 満月の夜は、 昔から化け物にあいやすい。 その日も、 けものの光る目みたげな、 きれいな満月の夜だったと。
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