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先程(さきほど)
『一応この店の紅一点』
と述べたのには理由がある。
その理由が
僕の足元で日本人形をくわえている黒猫の「クロ」にある。
クロはメス、
つまり女の子だ。
この猫は大分変わっていて
頭が良く、
さらに人間の言葉を話す事が出来る。
そして異常に長生きらしい。
何とも不思議な猫である。
今は口に人形をくわえている為、残念ながら
その声を聞く事は出来ないのだが。
「ふぁ~あ。
まだまだ寝足りない……」
「こんな時間まで寝てるから
脳が腐っちゃったんじゃない?」
僕の耳に
そんな会話が入って来る。
ってかハルさん、
そんなに明るく『腐る』とか言っちゃ駄目(だめ)だよ?
人間性が疑われちゃうからね。
僕はため息をついて
その場にしゃがみこんだ。
ボスが起きるまであと何分かな、なんて考えながら。
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