この店

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「ちょっと待ってて! 僕が取ってあげるから」 そう言うと 女の子は嬉しそうに頷く。 「お兄ちゃん ありがとう! ここで待ってるね!」 その言葉を後に、 駆(か)け足で店の中へ入る。 階段を上がって直ぐの部屋に、 沢山(たくさん)紙が 置いてある場所がある。 その部屋で 一枚紙を掴(つか)み、 詩音は足速に階段を下りた。 そのまま外へ出ようとした時、 詩音の足元に 何か黒い物体が現れた。 踏みそうになり 焦って立ち止まると、 そこにはクロが居た。 詩音は顔をしかめて 口を開いた。 「クロ…… いきなり飛び出して来たら 危ないよ?」 口に何もくわえていないクロは、尻尾を振り 呆(あき)れた眼差(まなざ)しを詩音に向けた。 「勘違(かんちが)いするな。 お主が勝手に 我に向かって飛び出したのだぞ?」 正論だった為、 詩音は口を挟(はさ)む事が出来なかった。 .
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