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「で、
お主は何故(なにゆえ)そんなに
急いでおるのか?」
目を細めながら
クロは尋ねてきた。
「下で
人を待たせているんだよね。
だから
『早く行かなきゃ』と思ってさ」
詩音がそう言うと、
クロは
尻尾で詩音の足をピシリと打った。
「なら早く行け」
「言われなくても
行くって……。」
そう言い残し、
詩音は外へ飛び出した。
女の子は
再び姿を現した詩音を見て、
嬉しそうに手を振っていた。
詩音も女の子に
軽く手を振り返す。
そのまま女の子の元へ駆け寄ると、
詩音は得意げに
手に持つ紙を見せた。
女の子は
キョトンとした表情で
その紙を凝視していた。
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