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なぜ橋本久志は田岡くんにあんなことを言ったのかを考えるほどあたしは冷静にはなれなかった。ただ人としてどうなのかとイライラした。
「何であんたにこんなことされなきゃいけないの?そんな権利どこにあるわけ?」
「権利って何?」
「論点ずれてる」
「5コマまでだから許してくれよ。今日だけだから」
「あたしに嫌がらせするのは今日だけかもしれないけど、あたしはこれからも橋本久志を嫌うよ?」
当たり前のことを言っただけなのに、橋本久志は暗いため息をついてあたしを見た。
嫌いにはならないと思うけど、確実に今の行動は好きになれなかった。
「ごめん、俺が悪かった。行けば?」
「別にいいよ。外雨だし」
田岡くんに会いたいわけじゃない。橋本久志の行動が許せなかっただけだ。謝ってくれれば許せてしまう。
あたしがstupidなのか、橋本久志がsweetなのか。
「告白だろ?」
「え?何が?」
「田岡、前田のこと好きだろ」
「そんなわけないじゃん。まだ全然話とかしてないし」
「お前今日が何の日か知ってるだろ?」
「経済学のテスト」
「女子なのに知らないんだ?withっていうジンクス」
「with?」
「7月23日の5コマ終了の鐘が鳴るまでに告って上手くいくと幸せになれるってやつ」
「何それ?橋本久志そんなの信じてるの?」
「別に俺はどうでも良いけど周りが騒ぐから。ってごめん、俺も電話だ。もしもし?」
橋本久志はあたしとは反対の方を向いて電話をしはじめた。
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