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電話の相手は綾瀬ハナで、今は無理とか5コマ前は忙しいとか、橋本久志は必死に断っている。
それがちょっと嬉しかった。
ハナは可愛いから付き合うのかなって今まで思ってたから。まだ橋本久志に一番近いのはあたしだ。
「ごめん。他に好きな奴いるから」
ハナが告白を電話でしてしまったことも驚いたけど、橋本久志に好きな人がいるのはもっと驚いた。
結局さっき真由の部屋で言ってたことはどういうことだったんだろう。好きってレベルじゃないって言っておいて、今は断る口実に使っただけかもしれない。
「きゃっ!」
部屋が急に暗くなってあたしは思わず悲鳴をあげてしまった。短い悲鳴だけどハナには聞こえてしまったかもしれない。
一緒にいることが知られてしまったらちょっと気まずい。
でもあたしはハナよりさっきから鳴り続けている雷と暗い部屋が怖くて橋本久志にちょっと近づいた。携帯のライトだけが部屋を灯していた。
「綾瀬の気持ちには応えられないけどありがとう。じゃあ」
「きゃ」
さっきまで部屋が明るかったから気づかなかったけど、雷はかなり鳴っていたようだった。
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