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あたしは雷が光るたびにビクビクしてしまった。
こんなあたしが雷を恐れるなんて橋本久志は笑うかもしれない。
でも優しく手を握ってくれた。
「怖いなら布団潜ってれば?」
「うん、そうする」
橋本久志はあたしが一人で布団に潜るのだと思ったらしく、椅子から立ち上がらなかった。
そんな橋本久志の腕を引き、あたしは布団をはがした。
あたしが布団に入ると多分橋本久志は困った顔をしていると思う。表情はわからないけど、掴んだ腕が教えてくれた。
「ねぇ、いいでしょ?」
「何が?」
「怖いよ」
「うん」
あたしはてっきり橋本久志は布団に入って来てくれるものだと思ってたけど、入ってきたのは橋本久志の手だった。バスタオルを外され、直接胸を触られる。
「触っていいなんて言ってない」
「お前が誘ったんだろうが」
橋本久志はあたしの布団を剥ぎ取り、あたしの上に覆い被さってきた。
あたしはこうなることを望んでいた。
もう雷は気にならない。目の前の橋本久志の方がずっと気になる。
こんなこと両思いの人としか普通しない。そしてこんなにも温かいのは両思いの時だけだ。
身体は知ってる。
「久志」と呼んだのも頭で考えたことではないのだから。
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