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あたしは近くの自動販売機に飲み物を買おうと立ち上がった。
「前田?どこ行くの?」
真剣に勉強してると思ったのに、やっぱりさっきの変な橋本久志のままだ。あたしに逃げられると何がそんなに困るんだろう。
「自販」
「俺が行く。何飲む?」
「え、自分で行くし」
「いいから」
「烏龍茶」
「笠原は?」
「あたしも烏龍茶」
橋本久志は「了解」と言って部屋を出て行った。橋本久志は甘い。sweetじゃなくてstupid。でもそんな甘さはもしかしたらsweetかもしれない。なんてったってあたしは逃げずにここにいるのだから。
「橋本くんと付き合ってるの?」
「まさか」
読みかけの少女漫画の第一巻を閉じ、本棚に戻した。
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