ひよこからにわとり

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美容院で髪を切ってもらっているとき、いつも気になっている事があった。 髪を洗ってくれるアシスタントの女の子。 いつ髪を切るようになるのだろう? ある日、突然一人前になるのか? 何か決まりがあるのか? 昼間、ピヨピヨ鳴いていたひよこが、夜、突然くっくどぅーどぅるどうーと鳴くようなるはずがない。 疑問に思ったので、髪をかわかしてくれている女の子に聞いてみた。 答えは、お店毎の試験があるそうなのだ。 業務終了後、日々練習し試験を受ける。 セットから始まり、染め、パーマ、カットとステップアップして行くらしい。 2年~3年くらいかかるとか言ってたかな。 日々精進して、プロになる。 私とは大違いだな。私が一人前になるまでの経緯は、戦争に例えるならこんな感じ。 武器だけ渡され、簡単な説明を受ける。 「これ機関銃、これバズーカ、これ手榴弾ね。 引き金引くと弾出るから。じゃあ、がんばって。」 そして最前線に送り込まれ、蜂の巣になる。 血まみれになりながら、耐えて戦い。 生き残ったものだけが、プロとして生きている。 3年で兵士として一人前に。 5年くらいやると、どんな戦場でもボロイ武器でも、ゲリラ線で戦えるようになる。 そしてその腕を見込まれ、降服寸前の戦場に送り込まれ。 勝てと不可能な任務をあたえられる。 戦場についた瞬間に、戦犯扱いされることもしばしば。 ウザイので、上官を撃ち殺したり、使えない仲間を見捨てたりしたことも。 そして一人前と言われるようになっても、いまだに、過酷な戦いを続けている。 戦争に例えるなら、こんな感じかな。 まぁ、エリートはいきなり戦闘機を操縦してるんだろうけど、私みたいな叩き上げは、こんな感じ。 ひよこがにわとりになるためには、きっと1羽、1羽に、それぞれのドラマが存在するのだ。
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