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ゆっくりと周囲を見回してみる。席はほぼ満席だったが、店内は心地よい静けさに満ちていた。本来なら、花火大会が始まっている時間だが、外からも特別賑やかな音は聞こえてこない。どうやら悪天候の為に順延になった様だ。
美沙紀は一番窓に近いカウンター席の端に座っていた。目の前でカップにコーヒーをそそいでいるマスターの鮮やかな手つきを見ながら、ゆっくりと大きく深呼吸する。
ばかみたい・・
美沙紀は、人知れず口元を緩めた。
それは決して卑屈な笑みではなかった。
今日1日の行動を冷静に思い返した自分に対する、素直なリアクションだった。
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