*籠の鳥*

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その籠にそっと 鍵を掛けよう… 窓に分厚いカーテン 部屋には太い鎖に南京錠 この浮き世に美しい君を晒す事などしたくない 君を僕だけの物にする 誰の眼にも触れさせないと 僕だけの神に誓ったんだ 透き通る肌に 絹糸の様な髪 華奢な素足の爪先まで いつも見ていたのに その瞳が濁りゆくのに 気付かなかったんだ… 美しい君が ただの抜け殻になってしまったよ 鍵を開けるのが怖い 君が僕の元から羽ばたいて行きそうで 信じるとか信じられないとかじゃない ただ君と居たいだけなんだ 死ぬまでこの籠の中で 二人で朽ち果てるまで 嗚呼… 僕はその籠を 開ける事ができずに 君を壊してしまったよ… どうして君を 解放するその一言が 言えなかったんだろう… 自由に羽ばたく君が好きだったのに… 自由な君が 本当は何よりも 美しかったのに… .
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