別れの提案

2/2
前へ
/19ページ
次へ
「悪いな、古泉。俺あんまお前のこと好きじゃないみたいだ」     もう少しで新学期も始まる4月の頭、僕は恋人であるキョン君に呼び出され、昼の屋上にやってきていた。 扉を開けて暖かな風を浴び、その心地よさに浸りつつ、呼び出し主の元へと歩いた。   来てから結構時間が経っていたのか、彼は陽に当たりながら、寝転がって僕を待っていた。 彼は僕が来たのを確認すると、上体を起こし、わざわざここまで悪かったな、と言って立ち上がり僕の方に向かって歩いてきた。   そして急に、恋人である僕を好きではない、と言ってきたのだった。       ――…ほう、そういうことですか。       そういえば今日はエイプリルフールだったということを思い出し、僕は僅かに口元を緩ませた。   その時、僕のイタズラ心が動いた。      
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加