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「……!?……こい…ずみ……」
一度立ち去った僕が、また目の前に現れて気まずさを拭うように、ゴシゴシと制服の袖で目元を拭い、僕に向き直った。
「なん…だよ……」
「いや、落とし物をしたようで……」
「……………」
「……………」
「……………」
「あの……あなたの持ってるその青いハンカチを落としたのですが」
黙ってハンカチを持ち続ける彼に埒が明かないと、僕は彼に遠回しによこせと言った。
「これはお前のじゃない」
「…………はい?」
正直意味が分からなかった。
あのハンカチは僕のものなのに、
僕が“わざと”置いていったものなのに、確かに…くれたのは彼だが、もらい主はこの僕だ。
けれど、彼はそれを違うと言った。
一体何が言いたいのだろう……。
「これは……俺の恋人の物だ」
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