ちい星さん

11/13

11人が本棚に入れています
本棚に追加
/255ページ
「うそだよ、そんなの」 とか、 「おまえを騙して、連れ帰るのさ」 とか、 「連れ帰って、お仕置きするのさ」 なんて、言います。 「だけど…」 言いかけて、ちい星さんは、またさっきの寒気がしてきた事に気がつきました。 今まで、お月さまがうそをついた事なんて、あったでしょうか? いいえ、ありません。お月さまは、いつだって本当の事しか言いません。 「お月さまは、うそつかないよ!」 ちい星さんは、怒鳴りました。 すると、ネオン達、ネオン達の光の手が、にゅうっと伸びて、ちい星さんを捕まえます。 「行かせない」 「行かせないぞ」 「おまえも、俺たちみたいに、光のかけらになるといい」 「お月さまあっ!」 ちい星さんは、叫びました。 お日さまは、もう、そこまで来ています。 ―ちい星!― お月さまに、ちい星さんの叫び声が、届きました。
/255ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加