苦楽

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シ・ケイシュウは怒鳴ります。枕をちい星さんに投げつけて、イライラした口調でまくしたてます。 「どうして俺が呼ばなきゃいけないんだ?俺が悔いているとでも思っているのか?悔いているわけがないじゃないか。ろくな環境に育ったことのない人間が、楽々、世の中に受け入れられるとでも思っているのか?…冷たい世の中だよ。誰も振り向いちゃくれねえ。ああ、そうさ、俺もそうだよ。生きていくのに精一杯さ。自分さえ良ければいいんだ。俺が薄い毛布で夜を明かしているあいだ、ただ生まれた環境が良かったっていうだけで、何もせず、ぬくぬくとした毛布にくるまっていられるガキたち……!あいつらが苦労したか?ガキのくせに、人を見下した目つきだけ覚えやがって……ああ、そうさ、後悔してるとすれば、しくじって捕まっちまった事ぐらいさ!」
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