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「タカシさん…」
寝床で横たわっている女の人が、顔を近づけようとしている男の人に向かって言いました。
「明かりを消さないのは何故?あなたはいつも…それが好きなの?」
男の人は、少し困った顔をしました。
今まで何度も明かりを消して、嫌な思いをしてきたからです。
「君を、驚かせたくはないからだよ」
―何を驚くと、いうのかしら?―
目を伏せがちに、そう言った男の人の事が、女の人はなんだか、腹立だしくなってきました。
―目を伏せがちに…いつも、この人は何かを隠している―
のです。
それで、女の人は、男の人を押し退けると、さっさと洗面所の方に水を飲みに行ったのでした。
「真理!」
そうして、コップを手にしたまま、右手をあげて室内の電気を切ったのです。
ガシャン!
暗闇の中で、男の人の目は、光っていたのでした。
そう、これは、星を瞳に住まわせた男の人の話しです。
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