90人が本棚に入れています
本棚に追加
東京某所、時刻は午後10時。
バスを降りたばかりの少女が、急ぎ足で帰途をたどっていた。
硬矢 沙那
それが、彼女の名前。
都立の高校に通う、ごく普通の高校1年生。
少し大人しいが、明るい女の子だ。
『もうこんな時間…』
沙那は携帯をパタンと閉じ、足を早めた。
インフルエンザが流行り始めたのか
バイトは半数が欠勤。
後片付けにも時間がかかった。
今日は珍しく親も帰ってこないが、暗い道は恐怖をそそり、沙那を急かした。
冷たい風が沙那の頬を
痛いくらいに刺激する。
最初のコメントを投稿しよう!