さよならまたな

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東京某所、時刻は午後10時。 バスを降りたばかりの少女が、急ぎ足で帰途をたどっていた。 硬矢 沙那 それが、彼女の名前。 都立の高校に通う、ごく普通の高校1年生。 少し大人しいが、明るい女の子だ。 『もうこんな時間…』 沙那は携帯をパタンと閉じ、足を早めた。 インフルエンザが流行り始めたのか バイトは半数が欠勤。 後片付けにも時間がかかった。 今日は珍しく親も帰ってこないが、暗い道は恐怖をそそり、沙那を急かした。 冷たい風が沙那の頬を 痛いくらいに刺激する。
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