さよならまたな

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12月になり急に寒くなったせいか、爪先は痛いくらいに冷たく、いつもの道も先が見えないくらい長く感じた。 『………あれ?』 その人通りの少ない道の向かいから 息を切らして走ってくる人影を見つけた。 茶色く短い髪の、好感的で爽やかな青年。その青年はいきなり沙那の目の前で止まる。 「はじ…ハァ…は、はじめましてっ…」 よっぽど急いで走ってきたのだろう。息切れしながら、沙那に向かって言った。 一方沙那はご近所さんに挨拶することはあろうとも、通りすがりの青年に挨拶されたのは初めての経験だったので、しばらく驚きで声が出なかった。 最も、そんな経験ある人の方が少ないと思うが… とりあえず沙那は驚いていたし 青年は息切れして、声は途切れ途切れだった訳で 青年の言葉が沙那に理解されるまでは数秒の時間がかかった。 「はぁ…はじめまして?」 やっと青年の言葉を理解した沙那も 思わず語尾にはてなマークをつけてしまった。 青年はそんな事も気にせずこう言った。 「今、時間ある? 良かったら話を聞いてほしい」
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