山道

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久しぶりだ… 就職や進学でこのメンバーが集まれたのは約半年振りか… 俺は車の後部座席にもたれ掛かり、最近出来事や女の子の話で盛り上がる三人の会話を聞きながら、一人静かに窓から外の景色を眺めていた。 「ちょっと~!眠そうじゃない洋平?!」 運転席に座る自称皆のリーダーである拓が気味の悪いお姉言葉で語りかけてくる。 拓は気分が良いとお姉言葉になる癖がある。ルームミラーに目を向けると拓のご機嫌な表情が窺えた。 「洋ちゃん眠いの?寝ないで洋りん!尻取りしよう!?」 急に尻取りの相手を俺に求めるのは直人。世に言うB系と呼ばれる装いで、ガッチリとした体格、彫りの深い綺麗な顔立ちをしている。 「…やだ! てか、お前らは昼過ぎまでタップリと寝たから良いかも知れないけど俺はあんま寝てねんだよ!!」 俺は少し強めに主張したが、こんな事ぐらいで人の話をまともに聞くような奴ではない。案の定、直人の答えは… 「じゃあ俺からね! 洋りん!!!」
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