山道

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「…」 終わってんじゃん… なんて誰も突っ込もうとしない。直人によって使い古されたネタなのだ。一人で眠ろうとしてる奴は大体このネタの餌食になる。何時もなら大体一番早く寝ようとする拓がこのネタを使って皆にいじり回されるのだが、今日は俺の通う大学のテスト期間最終日、連日連夜の一夜漬と言う試練を乗り越えて俺は心身ともにヘトヘトだ。 周りを無視して俺は寝に入る。 「尻取りしようよ~!!」 直人は以前やる気のない尻取りをヤル気満々だ。寝かせてくれろ… 俺の右隣に座る安達君は通常車では入って行かないような狭い山道や田舎道を見つけては拓に行こうとせがんでいる。 付き合いのいい拓も最初は嫌がるが、直人や安達くんにねだり込まれると出さなくてもいいヤル気をだしてしまう。 押しに弱いなぁ拓ちゃん。 俺だったらあんなヤブやデコボコした所には絶対に入っていかない。愛車が傷付いてしまう。 多分、安達君もそう思ってる事だろう… 腹黒いなぁ安達くん。ホント乳首と腹は黒々だ… 時刻はもう六時ほどだ。季節が夏場のお陰でまだ夕暮れ程の光が射している。 「拓ちゃんそこ左に行ってみよう!」 安達君はまた気になる道を見つけたようだ。
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