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車が曲がり角まで来た。
遠くから観た感じとは違い、意外にも踏み固められた地面。
車が曲がりアスファルトから砂利道に変わった瞬間に少し日が落ちたような気がした。
辺りに街頭はない、当たり前だ山道なのだから。
砂利道を進んですぐに木製の小さな看板が四つ、雨風にさらされてきたのだろう、所々腐蝕が進んでいる上に車の中からではよく見えない。
何となくだが読み取れたのは三つ目まで。
一つ目は<ようこそ八刀沢へ>
今から向かうところの地名なのだろう。
二つ目は<危険!進入禁止>
三つ目は大きく、どうやら八刀沢の歴史や説明が書きこまれているようだ。右に少し大きな字で<八刀の歌歩き>と書かれている。一体どのような内容なんだろう?
最後の看板は読み取ることが出来なかった。
「うわー!<はぐれるな!!>だって!どんなとこなんだろうね!?」
目が良い直人には四つ目の看板が見えていたようで、都合よく俺が見逃したものを読み上げてくれた。
「えーっ!何か怖くない!?」
少し怯えた感じの有る安達君だが、同時にワクワクした素振りも見せる。多分楽しさが9割、怖さはたったの1割程度なのだろう。直人や拓も同様だ。だが俺は正直こういう薄暗いとこは大嫌いだ。
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