山道

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誰も信じないが俺は血が飛び出たりするスプラッター的な物が大嫌いだ。一見クールで物怖じなど知らない、そんな雰囲気が邪魔をして俺はすっかり肝っ玉が座った人間にされている。確かにあまり物事には動じはしない、ジェットコースターやホラー映画は大好きだ。 だが痛そうな描写が描かれる類いのものは大嫌いだ… 血の気が引く… 幽霊のでるホラー映画も観るのはいいが寝る時には後悔してしまう。何とも情けない話だが怖くて電気はつけたまま寝ることになる。 そんな俺も周りの期待に負けて<怖いから行きたくない>の言葉を泣く泣く飲み込んだ。 「行ってしまえば楽しいかもしれないしね…」 不甲斐ない自分に言い訳をして、車は無情にもゆっくり進んでいく。 <進入禁止> この言葉はもう俺達の頭にはなかった。さして気にもとめていなかったんだ。 なおも車は進んで行く、気のせいか道幅が少し開けた気がする。 森の冷気のせいかこの鬱蒼とした雰囲気のせいか、少し寒気を感じる。
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