山道

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不気味だった。鳥居は赤黒く腐食も酷い。町の家々は一軒足りとも明かりが灯っておらず静寂が時を止めてたたずんでいるようだった。 先ほど見えた松明のような赤い光はいったい何処へ消えてしまったのだろう?いつの間にかその光を見失い辺りを照らすのは微かな月の光と車のライトだけになっていた。 拓は何を思ったのか鳥居の下で車を止め、窓を開いて外の様子を窺う。 「拓ちゃんどうしたん?拓ちゃんも少し怖くなった?」 どうやら安達君は町の暗く不気味な雰囲気に多少来たことを後悔してるようだ。 「いや…、何か歌が聞こえない?」 「えぇーっ!?やめてよー!」 「いやマジだって!!窓を開けたら分かるから!!」 拓に怯えた様子はない。安達くんも恐る恐る窓を開けそっと耳を澄ます。 「… …… ………ホントだ!何か大勢で歌ってるみたい!でもよく聞こえないねー!」 「歌が聞こえる方向に行ってみようか!?」 拓は周りの答えも聞かずにまた車を走らせ始めた。直人も興味を持ったのか、車を走らせはじめてすぐに窓を開けて静かに外の様子を窺っている。 「あっ、聞こえた。」 神社等の祭りで能や演舞の間に聞えてきそうな歌が遠くから鳴り響いてくる。
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