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あたしは赤い顔のままうつむいた。
「なんで……んな嫌がんだよ……ッ」
「え……?」
驚いて顔を上げると啓はうつむいていた。
あたし 啓を嫌がった事なんてない。
どうして そんな苦しそうな顔するの?
「最近あんま話さねえし、森田と一緒だとすぐ変になる。
俺に何かあんなら言えよ」
苦しそうに言う啓。
そんな啓をあたしは見たくない。
そう思ったら体が勝手に動いていた。
あたしは両手で啓の顔を包んでいた。
びっくりしたように啓が顔を上げる。
「葵……」
「啓って……そんなキャラだったっけ?」
「は?」
「だっていつもと違う」
あたしは啓の顔をマジマジと見つめた。
「なんだよι」
「だって、いつもならすっごい意地悪でドSで鬼畜で俺様なのに」
「普通に傷つくんですけど」
「森田さんと……ケンカでもした?」
そう言うと啓が呆れた顔をした。
あー。
この顔は『何言ってんだお前、バカ?』っていう顔だな。
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