涙の告白

9/13

4534人が本棚に入れています
本棚に追加
/123ページ
あたしは涙でグシャグシャの顔で笑った。 「あたし、啓に何言われても嬉しかった。 あたしの存在を認めてくれてるって、勝手に思い込んでただけなんだけどね」 あたしは何か言おうとしている啓の口に人差し指をあてた。 そして そのまま微笑んだ。 「啓に意地悪されたって嬉しく思ってたあたしがいた。 啓にとっては、ただの遊びだってわかってたけど、それでも良かったの。 啓の一番近くにいれた気がしたから」 あたしはゆっくり指を離していった。 振られる。 わかってるよ。 だから今だけ 言わせて欲しいの。 「好き、大好き」 止められない。 「好き」 今言わなきゃ いつ言うの? 「好き」 きっとこれから気まずくなるよ。 「好き」 だから言わせて。 「好…き……」 涙が溢れる。 好きの気持ちが あまりにも大きすぎるから。 どうしよう。 止まらない。 涙も 言葉も。 あたしは涙を拭きながら「好き」と言い続けた。 .
/123ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4534人が本棚に入れています
本棚に追加