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あたしは両親が一緒に寝ていたダブルの布団に寝るようになった。
隣に寝た母は言った。
「隣に人がおったら、こんな安心するんやなぁ~」
それがあたしに見せた最初で最後の母の弱さだった。
ある日、母はあたしだけにと口を開いた。
弟を妊娠中にも父親が浮気をしていた事。
その事に悪びれた様子もなく、
「若気の至りだ」
と豪語していた事。
あたしが生まれて父親の実家にお披露目に行くと、祖父から
「メンタ(メス牛:侮辱する言葉)か‥‥」
と言われ、惨めな思いをした事。
「生まれた子が女なら、女親の家族がいろんな物を買い揃えてお祝いするもんだ」
と父方の祖父から言われた事。
弟が生まれても、祖父は何一つしてくれなかった事。
それでも母はあたし達のためと‥‥
歯を食いしばってきた。
母親の子供への愛は偉大なんだなぁ‥‥
母の苦労話を聞いて18才のあたしなりに、そう理解できた。
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