少女の観察

5/7
27人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
苦しむ中でも、女の子は剣道に没頭した。 目の色が変わり、妙に狂気じみている。 ひたすら竹刀を振り、小さな体を跳ねさせる。 女の子なりの精神の保ち方。 女の子なりの憎しみの封印。 女の子なりの耐え忍び方。 …すげえなコイツ。 感心すら覚える。 よく殺さねえな。 殺意もりもりなくせに。 すがるように竹刀を振る女の子。 女の子は担任を時折 見た。 助けを求めるか? ココロを覗く。 助けて助けて助けて助けて! すがるような気持ちをプライドがブレーキをかける。 アンタらに何が出来る。たとえ、止めさせるコトが出来ても本当には変わらない。 まあ、正論だな。人のハラはそうそう変わンねえし。 ふわりと浮かび、クラスを見渡す。 一見 仲の良さそうなクラス。 問題なさそうなクラス。 それはぺらぺらのうすっぺらい表面。 ホントはドス黒の中身。 みんな身を守る為に必死で つま弾きにならないように あんなのにならないように 女の子は被害者か 否か。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!