Story:2

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「ホントあんたの性格好きだよ。…くくっ」 未だに笑いながら、目元の涙を拭っている。 “好きだよ”とか…、ハァ…。 「ど―も。予鈴鳴ったから教室戻るわよ。」 「授業くらいサボっても良いじゃん」 「そう、じゃあ鍵締めて職員室に返しておいてね」 東峰澪里の目の前まで歩み寄り、鍵を手渡した。 「あんた何考えてんの」 「わっ」 鍵を渡そうと突き出した腕を引っ張られた。 必然的に東峰澪里に抱きつく形になってしまった。 「ちょっ…」 「あんたも一緒にサボるに決まってんだろ?」 ポーカーフェイスが崩れて赤くなる私を、からかうようにギュッと抱き締めてきた。 「離して!」 「何先輩~照れてんだ?」 「ちっ、違う!」 「顔赤いぜ?」 抱き締めたまま顔を覗き込んできた。 「顔、近い!」 「こっち向けよ」 背けた私の顔を、強制的に自分に向かせる東峰澪里。
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