空色だったあの時は

勝ったと思うなよ！

「勝ったと思うなよ！」

「黒」になった君に言った最後の言葉。

暗闇で見づらかったけど、君が笑ったのを覚えている。

笑っていた君の瞳から、「黒」の涙がこぼれていた。

…勝ったと思うなよ。

いつか必ず、空色を取り戻して、

もう一度、君に会いに来る。

その時は君に、「赤」の薔薇の花束を渡し、

もう一度プロポーズするだろう。

だからお願い。

神様。

どうかあの子が、

色を取り戻して、

幸せになりますように。

わかっているよ。

きっと僕の事を忘れる事も。

僕がプロポーズをする前に結婚する事も。

いい男になるのも大変だよ。

僕は、微少にあった「青」の涙をこぼした。

涙を流せば流すほど、

僕の色は亡くなり、

黒に塗り潰される。