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今度のは本当に意識が飛びそうだった。
あと10秒もしたら気絶するかもしれない。
………………。
それから根性と言う名の力で意識をつなぎ止めること10分、やっと熱が引いてきた。
「ハァ……ハァ……」
気づけば体中汗だくだった。
ポタポタと僕の顎(アゴ)から汗の水滴が落ちている。
「どうじゃ……目は見えるようになったかの?」
恐る恐る、片目を失った勝じぃが聞いてくる。
――目……そういえば見えるようになってるかな……
左手で左目をおさえ、勝じぃの顔を見てみた。
…………見える。
少しぼやけているが、失った勝じぃの右目から血が流れているのがわかる。
「…………少しぼやけていますが、見えます。」
「左様か!?見えるのじゃな!?」
僕が言うと、あのいつも冷静な勝じぃが驚いたように聞いてきた。
驚く勝じぃをみる久しぶりだ。
「は、はい……見えないってことは無いです。」
「で、では何か身体に異常を感じぬか!?どうなんじゃ!?」
勝じぃが急かすように聞いてきた。
こんな勝じぃを見るのも初めてだ。
「……いまのところ異常は感じません。体は普通に動きますし、吐き気や頭痛などもございません。」
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