小さき頃の夢

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「綾、ここが東京と言う都会じゃ。」 勝じぃが建物を指差しながら僕に説明する。 まだ10歳の僕は東京にくるのは初めてで、初めて見る物に好奇心が溢れていた。 「す、すごいです!!周りにある建物がみんな高い!!あの建物の屋上に上がってもいいですか!?」 目に入る中で一番高い建物を指差しながら勝じぃに言う。 「ダメじゃ。都会では忍術は控えるんじゃ。里で説明したじゃろ?儂等の忍術をあまり人に見せるなと。」 勝じぃの言うことは絶対。 だから僕はダメと言われればあきらめるしかない。 「そ、そうでした……すみません……」 残念な気持ちを込めながら勝じぃに言った。 僕達忍者は本当に信頼できる人間にしか正体を明かしてはいけない。 「……そうがっかりするでない。忍術を使わなければいいのじゃ。……この意味がわかるか?」 「えっ……すみません、わかりません……」 まだ幼い僕にはこんな簡単なことさえわからなかった。 「うむ……まだ10歳だからな……今日のところは勘弁してやろう。」 仕方なさそうに言いながら腕を組み、勝じぃは続ける。 「儂はこれから忍の依頼を受けてくる。残念じゃが綾、お前は一緒に任務はできない。じゃから、儂の任務が終わるまで遊んでいいぞ。」 勝じぃの言葉を聞いたとき、嬉しくて目が大きく開く。
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