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なぜこんなことをするのかと言うと、勝じぃの片目は代々御先祖様から受け継いできているらしく、御先祖様達にいまの時代の風景をあの世でも見てもらう為にと言うことだ。
御先祖様の片目はある強力な忍術が施されていて、100年経とうが1000年経とうが腐らないらしい。
ちなみに勝じぃは19代目で、18代目の美奈(ミナ)ばぁ様から片目を受け継いでいる。
そして、僕は20代目だ。
「……綾。」
勝じぃが僕の名を呼んだ。
いよいよ儀式が始まるみたいだ。
「……はい。」
中腰になり、頭を下げた状態から顔を上げて勝じぃの顔をしっかりと見た。
「これより受け継ぎの儀式を開始する……皆の者、準備はよろしいか?」
勝じぃが静かに聞くと、5人の爺ちゃんと僕は静かに頷いた。
こういう儀式の場合の返事は首を動かすだけでいいのだ。
「では儀式の前に儂から綾に言わせてもらいたいことがある……よろしいか?」
また僕を含め、6人は頷いた。
「有難う。…………綾、よくぞここまで儂等の教育の元で育ったのぅ……儂は嬉しいぞ。まさかあの弱々しかった赤子がここまで強く、逞しく育つとは……」
「っ!?」
勝じぃの手が僕の頭を優しく撫でた。
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