卒 業 式

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あたしは千鶴に電話をかけた。 今はまだ夜8時にもなってないから きっと着信に気付くはずだと思った。 チョコレート菓子の包みを 開きながらあたしは 電話が繋がるのを待った。 「はい」 3コールくらいすると 電話先から千鶴の声が聞こえた。 いつものちょっとだけ高い声、 あたしは千鶴の声が結構好きだった。 「あのさ千鶴、 明日、どんな格好で行く?」 あたしは部屋の壁にかかっている 3年間お世話になった制服を 眺めながら言った。 すると千鶴は間を開けて答えた。 「あー‥、卒業式だもんね。 どんなって例えば里桜は?」 「んー‥髪巻いてくとか、 制服にリボンつけるとか、 そうゆう系かな?」 「ああなるほど。あたし少しだけ 染めたんだよね、髪」 「何色?」 「確か、ハニーブラウンって やつかな。フツーの茶色」 あたしは少しといいつつ もの凄く明くなった 千鶴の髪を想像した。 「だから一応これだけで充分。 里桜は結局どんな感じなの?」 「あたしは‥じゃあ巻いてく」 「ふうん。あ、キャッチ」 「本当?じゃあ切るね」 「あ、大丈夫、悠真だった。 じゃあ後でかけ直すね」 わかった、と言い終わる前に あたしは千鶴に電話を切られた。 明日は卒業式だった。
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