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(ちっ……)
何故か、この場をすぐにでも離れたい様子のクロノスは、教官がタオルで顔を拭いているのを確認すると、机の上に置いてあった上着を持って、全速力で教室を出て行く。
「待て!クロノス・クオーラ!」
それに気づいた教官がすぐに呼び止めるが、その呼びかけも虚しく、クロノスは後ろを振り返らずに一年校舎を後にした。
「ったく…誰が待てと言われて待つんだ……って、もう昼過ぎじゃねぇか…」
難なく逃げ切れたクロノスは、溜め息をつきながら、朝と変わりない賑やかな坂を下っていると、人混みのせいで誰かと肩がぶつかってしまった。
「あ…すまん…」
「気をつけろ!」
肩がぶつかっただけなのに、怒鳴れたことにイラッとしたクロノスは、顔を上げると自分と同じ制服を着た、黒髪で短髪の男がこちらを睨んでいる。
クロノスは目線を少し下にやり、きちんと着ている制服のネクタイピンを見ると、青色の宝石が入り込まれているので、二年生ということを確認した。
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